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2010年5月19日 掲載


第7回 人を孤立させない社会に

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十年ほど前、私は路上生活者支援グループの人たちと一緒に、橋の下にもぐって衣料や食事などを配る「たかがおにぎり、されどおにぎり」支援をしていたことがあります。当時は今のような自立支援の法的制度は整っていませんでしたし、社会においても、彼らがなぜ路上生活を送らざるを得なくなったのかその背景について、ただただ仕事をしたがらない人々、という想像力の欠如した見方が大半を占めていました。
 ある時、おにぎりを受け取った六十歳ぐらいの男性が「わしも会社を経営していたこともあるが、こんな風になるなんて思ってもいなかった」とつぶやきました。私は、その寂しそうな表情を今でも思い出します。
 人生には何があるかわからない。でも自分の傍らに自分のことを気にしてくれる誰かがいてくれるだけで、がんばってみようとする気持ちになれるのは事実です。
 皆さんもご存知のように、リーマンショック以降、路上生活を余儀なくされる人々が多く出ました。浜松でも駅前公園でおにぎりを配る人たちの姿が多く見られるようになりました。でも、配った人たちがブラジル人で、配られている人たちが日本人だったということを皆さんはご存知でしたか。
 どちらかといえば、職を失ったのはブラジル人が多かったし、順序も先だったと思います。しかし、友人・親戚同士で助け合い、同胞の教会の保護を受けることができた彼らは、雨露をしのぐ場所さえ見つけることができなくなってしまった日本人のために、おにぎり配りを続けたのです。
 人を孤立させない社会にするために、私たち一人一人ができることは何でしょうか。人と人をつなぐ絆を失わないで、みんなで幸せになりたいものです。