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2017

はままつ子どもの学び支援&セーフティネット強化事業

浜松地域に居住する子どもたちの安心で健全な育ちを支え、貧困の連鎖を止めるために、複数の団体・組織とネットワーク型の連携体制で、単なる学習面だけでなく、学習意欲や自己肯定感を育む習い事を支援し、同時に福祉・教育相談を含めた包括的な支援体制を強化する。
(公益財団法人ベネッセこども基金 2017年度 経済的困難を抱える子どもたちの学び支援活動助成)

事業の内容

(1)アウトリーチ型学習支援

外国ルーツ、不登校など多様な子どもたちのニーズに応え、週1~2回訪問して、学習意欲や自己肯定感を育む教科学習や職場体験、手芸、日本語教育などをマンツーマン(一部、兄弟姉妹あり)で行った。支援依頼→保護者・本人と面談→講師探し→支援開始 のプロセスで行っている。
対象者:20家族27名(小学生16、中学生9、高校生1、中卒1) 計524回
教科:算数・数学18、国語12、英語7、理科1、作文1、日本語1、その他4(おしゃべり、手芸、職場体験、野外活動など)
講師:元教員8、日本語教師4、大学生1、技術者1、その他2 計16名

(2)講師会+研修

計4回開催。個々の課題や工夫・ノウハウの共有を図った。1、2月は研修も同時に提供し、外国ルーツや不登校の理解と対応策、子どもの発達と遊びなど、子どもをめぐる背景を知る機会をつくった。

(3)ネットワーク型連携体制づくり

フードバンク、一人親当事者団体、学習支援団体、子ども相談支援団体、フリースクール、子どもの居場所、青年就労支援機関、心理教育相談のある個人塾、母子施設、子ども支援財団、民生児童委員、市社協、就学援助の多い中学校、定時制高校などへの訪問、関連する会議への参加、情報を提供など、顔の見える関係をつくった。

成果・効果

交通手段や交通費の壁で学習支援教室に通えない子や、大勢いる場所に通う元気がない不登校の子どもたちに学習機会を提供し、家族や先生以外の大人と信頼関係を構築することができた。成績向上のほかにも、挨拶しなかった子が挨拶をするようになった、講師に小さなプレゼントを用意したなど、気持ちが前向きになった子どももいた。学習意欲がない外国ルーツの子のケースでは、会話を通して日本語習得ができるような工夫をして、情報の提供や相談も行った。
講師とは月報で学習内容と生活や行動面の気になる点を共有。講師会は、教科指導の不安はなかったが、不登校や障害への対応や、生活相談など学習以外の支援はどこまでやるのか?といった悩みが寄せられた。困難事例についてはケース会議を開いたり、SSWなど外部の支援者につないだ。
子ども関連の団体・機関とは、お互いの強みが見えたことで、学習支援だけでは解決できない課題について支援依頼や相談をしたり・されたり、仲介したり、連携・協力のネットワークをつくることができた。

今後の課題と展望

個別支援のため、支援経験があり信頼のおける人材を探すのに時間を要した。講師のマッチングが合わず、短期で終了した件もあった。不登校の子は学習意欲が湧きにくく、障害疑いの子は学習成果が積み上がらないなど、成果がなかなか現れないことも少なからずあった。
複合的な困難を抱えるケースが多く、適切な支援をするには、生育歴や家庭環境の把握(アセスメント)と様々な配慮やスキルが必要であるが、高い専門性を求めると担い手のハードルが上がり、一般市民が支援に関わることが難しくなる。専門性と支援者拡大の2つの異なるベクトルをバランスよく拡げていきたい。