特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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2015年度


NPOのキャリア形成と労働法を考えるセミナー

「NPOで働く」を考えるセミナー愛知編は、NPOのキャリア形成と労働法をテーマに開催しました。

日時 2015年12月9日(水)19時~21時
場所 ウインクあいち 12階会議室(名古屋市中村区名駅4−4−38)
内容 パネリスト
 話し手:口屋 初理さん(一般社団草の根支え合いプロジェクト)
    河村 慎子さん(NPO法人多文化共生リソースセンター東海)
    六鹿 直樹さん(NPO法人こどもNPO)
    市野 めぐみさん(NPO法人地域福祉サポートちた)
 聞き手:青木 研輔さん(東大手の会)

コメンテーター
 加古 朗さん(社会保険労務士・行政書士)

参加費 1000円
参加者 参加者17名、登壇者5名、N-Pocket2名、東大手の会6名 計30名
主催 東大手の会(ひがしおおてのかい)、認定NPO法人浜松NPOネットワークセンター

人材を確保・継続するためのポイント

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まず、東大手の会の青木代表より、NPOのヒアリング調査のまとめをもとに、NPOが将来を担う人材を確保・継続するためのポイントについて整理しました。
詳しい内容はこちら。

 

  1. 組織・財源の確保
  2. 採用
  3. 働き続けるための工夫/育てる仕組み
  4. 支援策として求められること
  5. その他 代表交代のしくみ、仕事量のバランス、運動体と組織体のバランス

NPOで働くことで、キャリアを活かす

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パネルディスカッションでは4名のパネリストより、所属団体の活動概要や入職の経緯、NPOでの働き方の実態、NPO職員のキャリア形成などについてお話をしていただきました。

<企業とNPOとの比較>

「企業に勤めていた時は、会社の歯車で回されていた感覚があった。NPOでは小さいながらも歯車を回して、地域に貢献をしている、人生を生きている感がある。」「同じ福祉分野でも、企業では生活のために働いているスタッフと共有できない想いがあって、NPOに来た。」「お金の面は暮らしていけるので大丈夫。生きていける程度はもらえている。」「新卒で入った企業は、お茶くみや会議室の予約程度の仕事でたくさんの給料をもらっていた。今は給料と仕事が反比例しているので、戻れるものなら戻りたい(笑)。」「企業とNPOで働いてみて、企業の時は友人と比較してモヤモヤすることが多かった。NPOでは給料は下がったけれど、人と比較しなくなった。心の安定度が違う。」

<NPOでの働き方>

「育休を取りたければ自分で整備せよ、という中で自分たちで変えてきた。」「多様な働き方を許容できる職場をつくってきた。」「第一世代は”有償ボランティア”で担う組織をつくってきたが、第二世代の代表は生活できる環境に、ということでシフトしてきた。」

<キャリア形成について>

「スタッフが少なく、一人で多様な仕事をこなさくてはならないため、自然と多様なスキルが身に付く。」「転職する時には、NPOでの仕事で、企画書が書けたり、イベントを運営したり、様々な事務仕事がこなせることが、強み、売りになると思う。」「キャリア形成について特に考えたことはない。」

労働法の観点から

後半は、NPOの労務支援に豊富な経験を持つ社会保険労務士の加古朗先生より、NPOならではの多様かつ日常生活に近い柔軟な働き方について、高く評価いただきました。
想いに沿って活動しているので言行一致の働き方ができる、個人の事情に合わせて事業規模や仕事の内容を変化(兼業OKや在宅勤務など)させることができるなど、民間企業にはない強みがいっぱいある。それなのに、NPOからは「何々をしている」という活動報告ばかりで、働き方についての情報発信がないのはもったいない。

お金の問題については、厚労省のキャリアアップ助成金など、中小企業向けの支援策をもっと活用すべきという情報提供もありました。

また、労働法の関係について、現行法とNPOでの働き方が一致しないが、特別扱いされる環境が用意されていないために、法律を守ることが前提になる。しかし、労働時間は気にせず理念を推し進める「コア人材」と、技術を持ち理念を実行する「スタッフ人材」とで分けて考え、「コア人材」を見抜く力が必要と、とコメントいただきました。

「NPOで働いて大丈夫?」という意見に対しては、キャリアプランを実現できる形、自分の人生設計が描けるような賃金表があるとよい。キャリア形成できるしくみづくり、教育研修、人事考課を取り入れていくことも必要。「こんな人材になってください」という目標設定や、「こんな人材が集まれば、こうなるはず」と逆算で考えていってもよい。

「マズローの欲求5段階」でいうと、NPOで働く第一世代は一番上位の「自己実現」のみを求めていたが、最近では生活するための「社会的欲求」や「安全欲求」といったベーシックな欲求も満たすことが求められるようになった、とまとめられました。

参加者の感想(アンケートより)

  1. 現場で働く人たちの正直な声と、加古先生の専門的立場からのコメントの組み合わせが絶妙でした
  2. 様々な立場、キャリア形成をされてきたパネリストのお話と、加古先生の労使どちらの視点も含んだまとめがあったので、総合的にNPOでのキャリアについて考えることができた。
  3. 事業や在宅など、いろいろな働き方の工夫がわかった。キャリア形成を考えるには、団体の将来像を先に考えないといけないことがわかった。
  4. 在宅勤務制度などの工夫がとても良いし、これからNPOに必要だと思った。そのノウハウをNPO同士で共有できる場がもっとあると良い。
  5. 4年契約のスタッフと聞いて、4年契約だとキャリア形成がはかりやすいと感じた。現在、1年契約の委託ばかりの為、複数年契約がたてづらい。
  6. 自分の団体も、人が辞めない、生き生きと働き続けられる職場にしていきたいと思った。ミッション、法人としての将来像や人事考課などをきちんと整えていくことの大切さが聞けたこともよかった。
  7. パネリストの皆さんが年齢問わず、一般企業の経験を経てNPOに入って来ていて、「時代の変化」を感じた。
  8. 雇用という場で、NPOの魅力を伝えきれていなかったと思う。今日の話で、企業に戻りたいと考える人がいなかった。その理由に勇気をもらった。
  9. NPOも中小企業も、人材の定着や育成のあり方で悩んでいることがわかった。NPOも企業も組織であることには変わりがないので、組織論的なところは共通して通用するものがあると思った。
  10. 企業のキャリア形成手法に学ぶところは多いと思う。良いところは引き入れ、新しい型のキャリア形成手法が考えることができると良い。
  11. 人事考課や兼業でスキルアップなどの話も聞けて、自分のキャリア形成やスタッフの成長に役立つお話が聞けた。
  12. 労働なのか、ボランティアなのかというテーマが面白かった。スタッフ人材、コア人材という考え方も勉強になった。
  13. 「コア人材」と「スタッフ人材」への処遇、組織をうまく機能させるための考え方、それぞれの団体の工夫など皆さんとお話しできる機会があると嬉しい。
  14. どうすれば優秀な人材のリクルートができるのか。人事担当者(理事・事務局長)の苦労話をききたかった。

セミナーを終えて:NPOの多様な働き方をPRしていこう

企業の文化、行政の文化、NPOの文化、それぞれ違った文化がありますが、NPOでは企業や行政と組んで仕事を行うことで、それぞれの文化が体験できる貴重な職場、人生のOJTができるとも言えます。
また「スタッフ人材/コア人材」の区別、割り切り方も、労働法に合致しない現状を整理するわかりやすい考え方で納得しました。
NPOにおけるキャリアが、他の場所でも評価、活用されていくようになるためにも、このようなNPOにおける多様な働き方、考え方について、積極的に発信していきたいと思います。