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公開質問状の回答 鈴木育男議員

皆様におかれましては日頃よりNPO活動を通じ、市民生活の向上や環境対策等多大なる貢献をされておられることに心から敬意と感謝を申し上げます。
さて、この度の質問状につきましては、その方法、内容等に多少の疑念をもつものですが、私個人の考え方をご理解願った上で回答させていただきます。

太田川受水に係るこれまでの経緯と現状

太田川ダム問題は、昭和49年の七夕豪雨による下流域の洪水被害を契機に、県が治水ダムの建設を計画したことに始まります。ところが、治水を目的としただけのダム建設に対し国が難色を示したため、県も頭をひねり、水道水の供給目的を加えた多目的ダムとする方向を打ち出し、国もそれなら補助事業に採択できるとして本格的に動き出したものです。そのため当初、県ほ天竜川左岸地域に水需要の予測を立てさせ、その後、右岸側も同様に受水を強力に働きかけ、形として県が22市町村の要望と同意ということにより、遠州広域水道(太田川系)81,000m3/日の受水量を決定しました。

当時の浜松市議会でも受水量の妥当性に対する議論がありましたが、県側の強い要請を受けた行政トップの議会への働きかけにより、異例ともいえる附帯決藩(詳細別紙参照)をつけ、市民負担の軽減を求め、水価の引き下げや供給開始時期等について県へ要望していくということで議案を可決しています。今思えば当時の国、県、市の関係からは、この程度の抵抗が精一杯だったろうと思います。

しかしながら,これで太田川ダム建殻への歯車は大きく回り出し建設投資が行われ、現在ではエ事進捗率が約50%と、後戻りが今更不可能といえるところまできています。

その間、平成12年に県企業局が受水量調査を再度行ったところ、6市町村から減量申請があったため、一日当たり67,000m3に変更しました。ちなみに浜松市は諸般の状況から、この時21,000m3/日から15,100m3/日に減量しています。

こうしたことで今日を迎えているわけですが、水余りや原水の水質を問題として、市民団体から多くの意見が寄せられ、正直言って、それが全く根拠のないものとまでは言い切れず、当局も議会も多少の戸惑いを感じているのは事実です。

いま議会サイドでは、それぞれの想いの中から以下のような意見が出ています。

  • 当時必要と考えたから受水を決定し、県に要望したのだから当然進めるべきだ。
  • 時代が変わり根本的に水は必要なのか精査すべき、空料金は問題だ。
  • もとはといえば県に押しつけられたものであり、県や国の責任も当然あってしかるべきであり、県議会議員や国会議員にもしっかり考えてもらいたい。
  • この事業は治水目的で始まっており、その恩恵を一番受ける磐田市や袋井市が強力に推進を願うのが筋であり、ましてや磐南5市町村が受水に対し難色を示すとはとんでもない。
  • ここにきて急に水価を下げた理由が理解できない。プール金が197億円もある企業局が今まで売ってきた単価は何だったのか。
  • 取水口予定地を見ると、なぜここから取水するのか理解できない。水量の問題とともにもっと適地があるはずだ。

水需要予測を了とする理由

上記のような経緯と現状をふまえ、私は下記のような理由と条件をもって、この受水を了とする結論を出しました。(なお、これほ創造浜松の会派意見にもなっています。)
私は水道事業における最も大切な課題を、異常時においても良質な水を安定供給する体制を確立、整備することととらえ、水道水供給事業の広域化や水源の多様化等は、その方向に沿ったものと理解するところです。

今回の太田川受水に対しては、水あまりという意見も聞かれるところですが、水道を事業として経営している行政からいえば、どのような状況にあっても、たとえ何が起こっても、市民の重責なライフラインである水の供給を怠るわけにはいかないというのが基本原則であり、市民もそれを当然のことと思い、そう望んでいるものと考えます。また事業者からいえば、水を市民に買って頂いているという立場であり、様々な手法を講じ安定した給水が維持できるよう努力するのが、行政に与えられた責務です。

次に原水についてですが、その水質についても様々な意見を開いております。しかし、この事業の基本的構図からいえば、県の企業局が原水を浄化した上で、飲用に適した安全・安心な水道水として本市に供給し、本市は安全・安心と共に、その水を買い、市民のもとに配水するというのが事業形態です。

よって、こうした市民の意見に対し、その心配を解消する努力は県が先頭に立って行うべきであり、万が一にでも不測の事態が生じた場合、その責は供給する側にあるということは言うまでもありません。しかしながら、よりおいしい安全な水を求めることは受ける側の権利でありますので、そうした意味での声は出していくべきものと考えます。

合わせて、合併後の新市の将来ビジョンにおいても、市民福祉の向上と共に一層の発展を目指し、その方向をしっかりと見極め、大きな夢を描き、この需要予測を超えるような政策展開を推進していくべきと考えます。水道水の安定給水と地下水源の節度ある涵養は、本市発展への重要な資源となり、担保ともなるものと思うところです。

まとめとして、今申し上げた諸点及び議会での平成5年から今日までの議論と経過をふまえ、本市の安定的な水道事業経営のために必要なものとLて、この水需要予測を以下の要望を申し上げ、了承するものとします。

【要望事項】

県に対して

  • 水価については、今般示された45円/立法メートルの根拠を水系ごとの水価とともに明らかにし、将来にわたり、より低廉な水価を維持するよう努めること。
  • 市民団体からの原水の水質に係る疑念については、その質向上のためのあらゆる努力を講じ、目に見える施策を推進すること。
  • 近年問題となっている水利権について、農業用水、工業用水も社会状況や地域状況の変化の中で、環境対策等への転換も含め、今後柔軟な対応が可能となるよう、国とも協議を図ること。

当局に対して

  • 受水予定市町村間の受水に対する明確な方向性を早期に確立するよう努力すること。

 

質問に対する回答

1.太田川の水質について

(1) ア)提供できる。

基本的に現在ならびに今後の浄化技術からいえば問題ないと考える。
また、単に汚染がひどいと断ずるのはいかがと思うところもあるが、心情的には、よりきれいな原水を求めることは当然のことと理解できる。しかしながら、浜松市は県が浄水したものを買う立場であり、もし御心配の向きがあるのであれば供給する側にその旨を伝え、納得いくまで追求すべきである。
逆転の発想をすれば、原水をよりきれいにするために太田川をもっとすばらしい清流にすることを目指し、そのために何をやるペきか積極的に考えても良いのではないか。行政では下水道の整備や農地の排水路の整備、無農薬農業の推進、既存森林の保全や荒れた林地の広葉樹化等による緑のダムづくり等様々な方策が考えられる。また住民サイドもそうした施策に対する協働とともに自身が何をすべきか、受益者が皆で考え行動することが大切で あると思う。NPOはこうしたことの取りまとめ役として、今後とも中心的に活動していってほしいと思う。

(2)イ)理由は知っている。

水量の確保(三倉川分)と建設に係る経済的理由と聞いている。

2.井戸水源の確保について

(1)イ)重要である。

水源の多様化といった点からいえば、太田川受水とともに井戸も重要である。防災の観点からいえば、本市でも井戸とともに地下埋設タンク等による非常用の水源確保に努めているところであり、いざという時のライフラインの確保は当然である。

(2)イ)その事実はない。

水質に問題が出てくれば当然廃止の方向は考えられるが、現在稼動中の井戸から減らすということではないと理解している。

3.コストについて

(1)イ)知っている
(2)イ)そう思わない

(1)(2)を合わせて、上下水道部の人口推計の方が、より現実的な推計方法を用いていると理解している。

(3)ア)そう思う

数字上には表れていないが、合併・政令市による本市の更なる発展も当然加味すべきと考えるし、そうした姿勢をもたなければ市民福祉の向上はあり得ない。

(4)ア)比較検討すべき

受水しないと33円で済むという話は太田川ダムが動いてきてしまった現状からいうと適切ではない。現実論として、税金を使って行ってきた事業の中断となれば、誰がその責を負い、誰がその負担を行うのか大きな問題が残る。どうであれ、結果的には住民が負担することになるが、各水系の水価ともに比較し検討することは、市民理解をより深める上で必要と考える。

追記

水利権についてですが、これは基本的に国の関係各省庁の専管事項となっており、この壁を突き崩すのは容易ではありません。現状でも、いわゆる工業用水は明らかに水余りですし、農業用水も水田については作付け時期の変化や作物の多様化等により、その利用にさまざまな意見が出されているのが現状です。今後、この辺をトータルにとらえ、その運用にさまざまな方策を講じることが課題であると感じています。

自然を取り戻すための中小河川の最低水量確保や、水辺空間の創造等、環境対策に水は大きな力を発揮します。また、佐鳴湖や汚れた河川の浄化対策にも一工夫すれば素晴らしい結果が得られると考えます。市民の間に水についての関心が広がることを願い、水資源の涵養とともに、太田川問題がこうした方向への一里塚になればと思っています。

(別紙)

平成5年3月16日 総務水道委員会での附帯決議

附帯決議

当委員会は、第62号議案を可決すべきものとするに当たり、56万市民の将来にわたる負担の軽減のため、太田川水系からの受水料金が可能な限り低廉となるよう、市当局が全力をあげて静岡県に対し、下記事項について、特段の働きかけをされるよう、強く要望するものである。

1.静岡県は、太田川水系水道水の供給単価の決定根拠となる太田川ダム建設事業費の抑制のため、国庫補助金の確保並びに県の一般会計からの出資金を増額し、極力、市民への負担に配慮して、可能な限り供給単価の引き下げを図ること。

2.太田川水系水道水の供給開始時期については、受水市町村の使用時期との時期的な差を解消することで関係市町村の財政負担の軽減を図るため、静岡県と関係市町村との協議の上、決定すること。

3.供給事業の施設計画については、合理的かつ効率的な観点に立脚し、関係市町村の意見を十分尊重の上、協議決定すること。