特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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議員と交流しよう

新しい公共の担い手という自負を持つNPOですが、法的な枠組みを後ろ盾に影響力をもつ議会の方が、圧倒的な力を持っています。私たちは、現場の声を政策に反映するために、議会と協働する方法を探ることにしました。そのために、2004年のN-Pocket新年会に浜松市議会議員10名を招き、地域のNPO23団体と交流(新年会&議員と交流しよう)を行いました。

12市町村との合併を控えた浜松市にとって、地方分権、地方自治の実現は緊急の課題でした。地方議会の質的な変換が不可欠であると感じていましたが、個々の事業でNPOが行政と協働して、施策に反映させるような優れた成果を上げても、パートナーとなった担当課にしかその成果を共有できないもどかしさがありました。

そのような状況の中で、私たちは「現場をもつNPOが議員と志を共有できる場面」を丁寧に創り出して、議員と共に政策立案していきたいという思いを強くするようになっていきました。

福祉団体ツアーと支援費

現場の声を熱心に聴く議員の皆さん

現場の声を熱心に聴く議員の皆さん

団体会員へのアンケートの結果、当面の緊急課題は、障害者福祉において、2003年度から全国で実施されはじめた「支援費制度」でした。

2004年2月18日には、市内の障害者福祉5団体の訪問ツアーを行い、市議会厚生労働委員会の議長と副議長を含め、8名の議員が参加しましたが、ツアー後には、「支援費」をテーマに議員7名と、市福祉課、県健康福祉部の担当者を交えて円卓会議を西部公民館で行いました。この会議では当事者団体も含め、参加した30名が1日かけて熱心に語り合う意見交換の場が実現しました。

■訪問した5団体

小規模授産所ウイズ

障害のある人たちがまちに出ることを支援し、障害のある人を自然に受け入れる心と技術と環境を整える作業を実践。障害のある人の社会参加推進と啓発活動を行う。スリランカの盲学校支援も行う(代表・斯波千秋)

地域生活支援の家 あっと・ほーむ

障害のある子どもたちも心の通う豊かな放課後を過ごせるよう、古い民家を拠点に活動。ノーマライゼーションの理念のもと、子どもがいきいき、社会に貢献できるスキームづくりと様々な立場の人が支え合える地域社会を目指す(代表・水崎裕久)

NPO法人 ぴあねっと浜松

自分の生活は自分で組み立てることを目的に、障害のある人自身が作った浜松市で初めての支援費対象事業所。必要な生活サービス(家事援助、入浴、トイレ介助など)を提供。すでに地域で自立生活を実践するスタッフが相談にあたる(代表・小田木一真)

NPO法人 クリエイティブサポート・レッツ

知的障害をもつ子どもの表現活動を支え、彼らの芸術活動、社会活動を支援し、社会的地位の向上と自立と、共に生きる地域社会の実現をめざす。アート講座やイベントなど多数開催(代表・久保田翠)

共に生きる ミルキーハウス

車いすの人、話すのが苦手な人、お年寄り、・・同じ地域に生きることが喜びになり、違いを大切にし、認め合う、共感できる街にしたい。障害のある人が地域で自立して生きることが出来るように、という願いの実現のために活動する(代表・小林由美子)

■円卓会議報告

NPO側の代表的な意見

  1. 今、福祉の流れは「施設から地域へ」。支援費はそれを支える制度で期待と注目を集めてきたが、理想と現状の乖離がある。予算不足をいいわけにせず、支援費の理念とサービスの質を保障すべきだ。
  2. 変革は当事者の声から! 利用してみて、利用できない状況を改善するために、声をあげることが急務。
  3. 支援費と介護保険の統合が検討されるなど、差し迫った課題がある。支援費を障害者だけでなく、市民共通の課題としてとらえ直すことが重要
  4. 親は地域で子ども達が豊かに生きるために必要なサービスを望むが、ホームヘルプの適応条件を自分たちが「当たり前」と思うことを「やむを得ない理由」にあげていることに疑問を感じる。
  5. 知的障害の学童のホームヘルプが、障害福祉課で不採用になったのは、行政の措置的な動きと感じる。
  6. 支援費申請の条件や方法について、わかりやすい説明が必要。
  7. 浜松市の情報公開の努力は理解するが、行政施策を誰がどこで発案しているのか市民にわかりにくい。
  8. ホームヘルプのサービス提供基準を変更する可能性はないのか。
  9. 浜松市は施設が充実しているが、小さな事業所は少ない。静岡市は施設は多くないが、地域での受け皿は多い。そのせいで静岡のほうが、市民力がより強いのではないか。
  10. 静岡市からみると、浜松市の充実した施設はうらやましく思う
  11. 施設で生涯守られるよりも、地域社会に参加することが今の福祉の流れだ
  12. 静岡市役所に「児童総合政策室」が誕生。新しい制度に挑戦するNPOと行政の協力に期待したい

■浜松市議の意見

厚生保健委員会の委員長・小松市議、副委員長・小沢市議、鈴木恵市議、西川市議から発言がありました。

  1. 介護保険も支援費も、制度自体が未成熟。このままでは、いくらお金があっても足りない。今回訪問したような草の根の団体こそ支えられるように、支援費の社会的潜在能力を高めていくことが大切だ。厚生保健委員会で大分県の「太陽の家」を視察し、障害のある人が地域だ当たり前に暮らしている姿に自立支援の必要性を確信した。地域福祉計画については、社協の立て直しと教育委員会との連携について提案している。
  2. 川崎市では、支援費の利用拡大、参加事業所拡大に加えて、わかりやすい啓発活動を行っていた。「地域で安心して生きる、養護学校卒業後を支える、親亡きあとをどうするか」など、慈雨bんたちの街として福祉ビジョンがはっきりしていた。一方、浜松市はビジョンがなく、支援費導入に精一杯、という印象。また、従来の福祉サービスを受けていたところにしか、情報提供していない。審議会では、計画作りの前に当事者の声を聴く、公募の委員や現状に詳しい人を入れることを求めてきたが、審議内容とは異なる考えが盛り込まれることがあるのは残念だ。
  3. 議員の政策調査費をNPOと協働して活用し、政策提案するなど、既に実行段階にある。
  4. 議員の役割には、予算をつけること、仕組みを変えること、という二つがある。市や県が基盤はつくったとしても、いかに市民が自分たちの声を反映させていくかが大切だ。

■参加者連携の意思確認

支援費制度を利用可能な制度にしていくために、NPOと議員と協働で取り組めそうなアイディアが出されました。今後もテーマ毎に集い、情報を共有する意思を確認しました。

  • 浜松市の「福祉のしおり」を改訂しよう。体系的に編集し、より使いやすくできないか。
  • 勉強会をかねて、利用者と行政と共に情報を共有する機会をもてないか。利用者側がわからない点を行政に質問し、その場で疑問を明らかにして行ければ効率的。
  • 支援費をマネジメントする人の配置を行政に提言できないか。介護保険にはケアマネジャーがいるが、支援費にはいない。浜松市では障害福祉課の窓口がやっている状況である。
  • 行政からの情報は膨大で議員でも読み切れないが、NPOから提案があれば、関連情報を提供可能。
    行政の事業自体を見直すなど、市民が税金の使い方を決める課程に参加できるようにしたい。

■その後の議会の一般質問で

参加した一議員は、「障害者への自立支援」と「ネットワーク作りの支援」が浜松市に欠けていると認識し、議会で一般質問をし、市から前向きな回答(障害福祉課にソーシャルワーカーなど専門職員を配置する、ホームヘルプ利用基準については改訂することを約束)を得た。