特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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障害者職場定着支援事業2015

1.ジョブコーチ派遣事業報告

本事業は特定非営利活動法人「浜松NPOネットワークセンター」が受託し、その実施組織「しずおか障害者就労支援ネットワーク」の7カ所の拠点に所属する60名の静岡県ジョブコーチにより行われた。静岡県ジョブコーチは専任で活動する者は少ないが、地域に居住する多様な人材が、適材適所でワークシェアリングしながら個々の持つ経験や地元の情報を携え、地域の事業所及び障害者を支援している。急な支援依頼や土日・祝日、早朝・深夜などの依頼にも柔軟に対応して成果を上げている。また、特別支援学校3年時の実習を含む、雇用を前提とした実習にも多くの支援依頼を受け、マッチングや職場環境へのアドバイス等で雇用後の定着につなげている。これらの特徴を生かし、国のジョブコーチとは連携をとりつつも独自の活動を行い信頼を得ている。

平成27年度の支援実績について、就職・定着支援では、274人に3,517人日の支援を行った。雇用アドバイス支援では、61事業所に対し129人日の支援を行い、そのうち20人が就労した。当年度の実績はトータルで、支援対象者は294人、派遣数は3,646人日となった。対象者一人当たりの平均支援回数は就職・定着支援では12.8回、雇用アドバイス支援では1事業所当たりの支援回数は2.1回であった。

支援対象は、就職または職場適応に課題のある知的障害、精神障害、身体障害、発達障害、高次脳機能障害等のある人、並びにこれら障害のある人を雇用しようとする事業主または雇用している事業主であり、支援要請を受けて支援を行った。

なお、支援要請は、障害のある本人、その家族、事業主、就労支援機関、ハローワーク、学校等から随時受けている。

<平成27年度の特徴>

雇用アドバイス支援

障害者雇用を前向きに検討している事業所に対し、障害者雇用を進めるうえでの課題を解決できるよう、支援を行った。

支援に至った経緯は、平成26年度からの引継が14件、企業からの直接依頼が14件、障害者雇用推進コーディネーター(オールしずおかベストコミュニティ)からの同行要請7件、ジョブコーチからの依頼3件、その他施設や学校からの依頼が23件で、計61件、129人日の支援を行った。

支援内容としては、障害特性の説明、想定される職務の提案、雇用事例の提示、雇用への手順についての説明、関係機関の紹介・同行訪問等であった。

支援の結果、雇用となったのが20件、求人票は提出しているが雇用となっていないものが4件、雇用意向確認のみが11件、検討中が11件、雇用意向確認できないもの14件、その他(事業所の閉鎖)1件であった。

雇用となった20名の障害者の状況は、年代別では、10代7名、20代4名、30代5名、40代2名、50代2名、60代以上はいなかった。性別では、男性9名、女性11名。障害別では、身体障害(聴覚)1名、知的障害9名、精神障害7名、発達障害2名、重複障害(知的と身体)1名であった

就労・定着支援

1)障害別支援対象者

今年度の障害の内訳は、身体障害21名、知的障害139名、精神障害54名、発達障害37名、高次脳機能障害8名、重複障害13名、その他2であった。

障害別平均支援回数は、身体障害と知的障害がそれぞれ12.7回、精神障害11.7回、発達障害が12.8回、高次脳機能障害が16.8回、重複障害が14.3回であった。

支援回数は、平均、12.8回となったが、1-2回の支援のものから、40回を超えるものまでさまざまであった。回数が多い案件では、現場支援に加え事業所や関係機関、担当ジョブコーチ、拠点代表等が参加したケース会議を複数回、開催したものもあった。

2)支援の特徴

支援回数は、平均、12.8回となったが、1-2回の支援のものから、40回を超えるものまでさまざまであった。回数が多い案件では、現場支援に加え事業所や関係機関、担当ジョブコーチ、拠点代表等が参加したケース会議を複数回、開催したものもあった。

支援依頼の経緯は年度により様々であるが、事業所(企業等)からの依頼は年々増加している。事業所との信頼関係が築かれたともいえるが、事業所の受け入れ体制の構築にさらに踏み込んだ支援が必要と思われる。また、今年度は問題解決のためにケース会議を多く開いた。事業所、対象者、支援機関、学校、ご家族などと情報共有し見通しを立てることは支援の中でも重要なポイントとなる。

2.ジョブコーチスキルアップ研修報告

スキルアップ研修のテーマについては、自分たちに何が不足しているか、今何を学びたいか、どんな講師をお呼びしたいかを毎年各拠点より募り、なるべく要望に沿った実り多い研修となるよう心掛けている。

3.職場定着支援者養成研修

「~静岡県ジョブコーチ養成研修2015~ 障害のある人の就労と雇用を支援する人のための研修」という名称で、8月から9月にかけて5日間、身体・知的・精神障害等の特性と職業的課題、就労支援者としての支援技術や心構え、制度、関係機関の取り組み・連携などについて学ぶ18講座(計1470分)を開催した。講師にはそれぞれの専門家、現場担当者を招いた。一講座からの受講を可能とし、企業の障害者雇用担当者や障害者就労・雇用支援関係者及び支援活動を希望している者等名に対し、知識習得の場を提供した。全講座の8割を受講した61名に修了証書を発行した。

開催日:平成27年8月28日、29日、9月5日、6日、12日

実施場所:三島市社会福祉会館

参加者 :74名

4.その他の関連事業

本委託事業とは別に今年度「しずおか障害者就労支援ネットワーク」が取り組んだ活動として以下のものがあげられる。

1)講演及び会議に関する活動

例年と同様に、個々の支援と平行して、障害者職業センターの行う講演会、障害者就職面接会、特別支援学校主催の就業促進協議会、障害者就業・生活支援センターが行う会議や障害者の就労・雇用に関する会議、セミナーなどへ積極的に参加して、関係機関との連携を深めるよう努めた。

また、研修会・セミナーの講師として、障害者雇用に係る講義や静岡県ジョブコーチの活動の紹介を行っている。

今年度は、一般社団法人静岡県社会就労センター協議会からの依頼で、「職場定着を支援する事業所職員の人材養成事業」において、県内、東部・中部・西部で、研修会の講師(各1回ずつ)、就労に関する相談会の相談員(各3回ずつ)、情報交換会のアドバイザー(各2回ずつ)として活動を行った。

2)障害者職場定着支援者養成研修修了生に対する実習

障害者職場定着支援者養成研修修了生の内、静岡県ジョブコーチとして活動を希望する者に対して、面接および拠点登録をしたうえで、静岡県ジョブコーチ支援現場等での実習を行っている。これまで障害者と接する機会のない者に関しては、別途、障害者施設での30時間のボランティア実習を課し、まずは障害者を知っていただくことからスタートする。今年度実習に進んだ修了生は、三島拠点4名、静岡拠点2名、藤枝拠点1名、中遠拠点2名の9名。内1名が3月に実習を修了し4月からジョブコーチとして活動予定である。家庭の事情により実習を取りやめた1名を除く残り7名は現在も実習中である。

3)静岡県ジョブコーチ アドバイザリーボード

昨年に続き、外部の有識者をメンバーとした委員会を3月に開催。委員は8名。静岡県ジョブコーチ活動の報告と今後の方向性へのご意見、現場支援へのアドバイスなどいただき、それぞれの委員からは最新情報なども伺うことができた。


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