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障害者総論

2002年6月22日(土)
講師 増田樹郎さん(静岡県立大学短期大学部社会福祉学部教授)

【講義のねらい】

障害者の権利・人権を理解する

1. 説明と同意(アカウンタビリティーというけれど実態はどうか)

障害者本人にわかる説明がされているだろうか。どこかでわからなくてもよいと思っていないだろうか。わからない状況で判断させたり、本人にはわからないものとして決めてしまっていないか。
門を閉ざしているのは障害者ではない。我々が門を閉ざしてしまっているのである。
情報が届くようにすることが大切である。(交通権)

2. 身辺自立ができてはじめて社会で自立ができる?

できるようになるまで、訓練、訓練、訓練…これでよいのか。
自分の力で行うことはよいことだが、介助があればできるということでよいのではないか。
米国の障害者差別禁止法が成立した背景には、ひとりの利用者に二人の介助者が付いて働くならば、彼が施設で過ごすよりも、2~3倍の生産性があるという論理があった。生産性とは単に労働力という意味ではなく、働きがいや生きがいを含めて考えるべきである。

3. 統合という考え

分離してから統合するというのではなく、もともと同じ共生のなかに在る(インクルージュン)のだ。

4. 高齢者介護におけるアセスメントの問題

アセスメント用紙はできないことをチェックする用紙。
できることは聞かない。できないことを、これも、これもと数えていく。できないことだけを数えあげられたらどのような気持ちになるか。

5. リスクがあるから

 リスクがあるから保護するのではなく、リスクも含めて生活が成り立っており、それをいかに支援するかが問われている。

6. 日本の福祉法の課題

日本の福祉法は社会福祉法が成立したとは言え、各種の福祉法は依然として分離分類の理念が強いままである。専門家のパターナリズム(父権的保護主義)も含めて、あらためて支援のあり方を見直していく必要がある。

7.みんなで支えていこう…そうすれば力を発揮できる

質疑・感想・課題など

自立とはなんだろうか、ノーマライゼーションについて真剣に考える受講者

自立とはなんだろうか、ノーマライゼーションについて真剣に考える受講者

  1. 日本において当たり前となっている障害者に対する対応、考え方は世界から大きく遅れていることを改めて感じた。例えば、車椅子の方がおられた時、日本人は車椅子を押してあげると考えるが、欧米の方は車椅子の方が自分で移動しやすいように段差のない道にするなど、できるだけ自分でできるように環境を整えるというように支援をする。発想が逆である。
  2. 私たちがこれから進めていく、援助付き就労という考え方は、訓練してできるようになってからではなく、現在持っている力を使って、介助付きで仕事ができる環境を作っていくこということで、先生の話しと通じていることを感じた。
  3. 利潤を追求して存在している企業(悪いことではなく、当然のこと)と、この話をつなげていくためには、介助者に対する手厚い補助制度が必要となる。しかし、現在の日本の制度はそのような状態にはない。法律ができるまで待つというわけにはいかないので、工夫してできることを積み上げながら法整備の進展にも取り組み、期待していくということか。