職業リハビリテーション概論
2002年6月29日(土)
講師 松為信雄先生(障害者職業総合センター)
【講義のねらい】
職業リハビリテーションの概念について理解する
1. リハビリテーションとは
RE…ふたたび
HABILITUS…回復する
→権利を回復し、人生を変えていく手段である
2. 国際障害分類の改正試案
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障害の独立性の強調
後者の障害は前者の障害水準によって全て規制されるのではない。それぞれの障害水準は、他の障害から独立した側面がある。
→例えば、機能障害により社会的不利があってはならない。 -
リハビリテーションは、何を失ったかではなく、何が残されているかを出発点とする。
失ったものを回復するために、20年、30年と訓練するのではなく、残された能力を活かしていくようにする。
3. リハビリテーションの領域
医学的リハビリ、教育的リハビリ、職業的リハビリなどの領域がある。
医学的リハビリよりも社会的リハビリ(職業的リハビリ、教育的リハビリ)が大切である。
4. 職業リハビリテーション活動
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事業主は誰がジョブコーチになるかに関心がある。
福祉?保護者?→会社のことがわからない人では困る。
事業主も機能のことだけを言っては困る。(事業主は何をするか) -
概念モデル
障害者を8時間も緊張した状態におかず、労働する力を育てると同時に全人的である発達プログラムがあることが望ましい。
5. 職業的リハビリテーション実施の過程
就労支援の流れ
- 就労相談
就労ニーズの確認、職業能力の評価、個別就労計画の作成 - 就労準備訓練
日常生活活動の再獲得、生活リズムの形成、服装の自己管理、対人関係技能、職場の常識とルール - 職業開拓と就職
ハローワークでは障害者求人ではなく一般求人を探す
事業主に対して制度が使えるかどうかは言わない。(ハローワークの仕事)
仕事の中身を教えてください→実習させてください
※実習させてもらう時に就職をちらちらさせない - 定着指導
6. 個人特性の階層構造
7. 除外率の見直し
除外率の見直しで7,000~8,000人の雇用が必要となる。
雇用環境はよくないが…雇用しないと支払いが…雇用した方がよい
8. 本人の老化と受け皿の変化
老化に伴い適応力の低下
企業就労→ 福祉的就労・・・受け皿が必要
これをキャリアダウンと考えない。キャリアアップと考える。
質疑・感想・課題など
- ジョブコーチの必要性が高まるが、現在は無資格であり、これで生計を立てることの難しさが今講座の中で何度か指摘されている。これについて、受託者1人につき職業センターからいくらもらえるというような制度にできれば、これを職業として生きていけるようになるとの話がされた。ぜひ、ジョブコーチに対する公的な支援制度を設けて、必要な人材が集まるようになることが望まれる。