特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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効果的な活動のための必須要素

1.学習

【要素1】学問的な概念、内容、技能を応用することが大切。また、生徒が自ら活動に関わること。

  • 結果が明確であり、集団の目標に関連していること。
  • プロジェクトが考えや技術の習得・応用の刺激になること。
  • 高度な思考と知識の構築が促されること。
  • 生徒はコミュニケーションを通して情報や知識の交換をすることが求められている。
    5. 国や地域のスタンダード(規範)に関係していること。

[事例]

  1. 3年がかりのプロジェクト。生徒は土の科学者になったかのように考え、自然の概念や社会責任について学ぶ。Acoma地域の歴史を調べ、土を採集・分析し、土の形成に関係する動物について調べる。学校の先生、保護者、地域住民が共同で行っている。
  2. 地域のスペイン語人口の増加を受け、高校生が小学生のために英単語の本を作った。本は学校、病院、郡の教育プログラムに寄付された。本作成にあたった生徒はスペイン語の知識のみならず、ラテン文化の理解も深めた。また、文章力もついた。
  3. 小4の生徒は入学前の子供たちにとって読み書きの力が大切であると考えた。そこで新入生を招待し、本をプレゼントする日の計画をした。4年生はペアの新入生に学校を案内し、本を読んであげた。
  4. 7年生の生徒は7週間にわたる科学・芸術・数学プログラムに参加した。病院と協働で、”Children’s Helath Care Week”の一環の1日プログラムを計画した。準備には病院の代表者が加わった。”space shuttle math program”, “crater toss”, “space painting”, “moon walk”などのゲームをやった。最後に生徒は自分たちのプロジェクトの評価をした。

【要素2】生徒の興味をそそり、主体的に活動させ、自らを成長させるものであること。

  • 生徒の興味をそそり、発達を促すような課題であること。

[事例]

  1. 老人ホームの隣に位置するミドルスクールの7年生の「書く力」をつけるための英語(国語)のグループワークは、ある生徒は興味をなくしたり、邪魔したりと、うまくいっていなかった。そして自分たちの作品を発表したがらなかった。
    また、隣の老人ホームは学校がうるさいと文句を言った。しかし老人ホームの人たちは、思い出を作ったり、話をしたりする外部の人が訪問することに関しては寛容だった。先生は、大人の存在により生徒の意識が高まり、自分たちのアイディアを出し合いたがるだろうと考え、世代を越えたプロジェクトが生まれた。
    生徒たちは学校で習っている文章の書き方を老人に教えた。老人は積極的に生徒の話を聞き、支え、励ました。双方は文章を書くプロセスに参加し、考えだけでなく、書くことをマスターする過程でたまるイライラも共有した。
    双方のコミュニケーションの力は向上し、生徒の「書く力」と態度は良くなった。老人たちの学校を見る目は変わり、今では老人ホームの窓から学校の方を眺め、校庭で遊んでいる自分のパートナーを捜すまでになった。
  2. Stoughtonの7年生は授業で、広告が言葉や画像を駆使してどのように消費者の興味をひくかについて学んでいた。ちょうどその時、先生は生徒向けのティーンの妊娠防止に関する、テレビ局とある基金主催のコンクールがあることを知った。6人の生徒はコンクールに参加し、学校の学習を越えて調査やインタビューをし、彼らの作品は賞をとった。

【要素3】成績は生徒の学習意欲を高め、実力をつけたことを記録・評価するために使う。

  • 成績は統一されること。

[事例]

  • Minnesotaの7年生は5年間にわたり地域の河川の水質を視察している。理科の先生は動植物の生息調査、科学実験、物理的実験、生物的実験を含む6つのプロジェクトを提案した。
  • Washingtonのミドルスクールでは、作文・歴史・コミュニケーションの力をつけるプロジェクトを行った。生徒は保育園や老人ホームで活動すると同時に、児童。高齢者の介護に関して社会の対応がどう変化してきたかを調べた。また、生徒はテーマに沿ったレポートを書き、先生はそれを添削することで書く力の向上を図った。
  • Californiaのある学校では河川美化と植林プロジェクトを行った。地域の歴史に関する授業をすることで生徒の河川に対する関心が高まり、市民生活に新たな一面を加えた。生徒は、町の発展と変容がどのように自然や人々に影響したかも学んだ。

2.サービス(活動)

【要素4】明確な目標があること。学校や社会の本質的なニーズに合っていること。最終的に、生徒自身や周囲の人に大きな1影響を与えること。

  • 目標が明確に定義されていること。
  • 本質的なニーズに合致していること。
  • 課題と結果が意味あるものであること。

[事例]

ラーニングツリー 樹木のように伸びる

ラーニングツリー 樹木のように伸びる

  1. アラバマ州では、生徒は、どのようにして昔地域のアフリカ系アメリカ人がコミュニティーを形成したかが記録されていないことに目をつけた。学年の枠を越えて歴史の調査・記録に当たった。否定され、忘れ去られていたアフリカ系アメリカ人の共同墓地の復活につながった。地域住民の協力により、生徒は墓石や本を修復し、劇も作った。また、名も知られていなかったアフリカ系アメリカ人の英雄達にインタビューしたり、図書館や現地で調べたりもした。コミュニティーを団結させた異文化間プロジェクトであった。
  2. アラバマ州の4年生は、テネシー・バレー当局から川の観察を依頼された。水質調査、流域地図作成、コンピューターグラフィング、土地調査のやりかたを教わった。科学的な方法で河川汚染の原因を探った。調査結果は専門家グループに報告された。
  3. ショフィールド中学では、California Bay Wetlands Area (海岸沿いの沼地など)を公共の公園と遊歩道に変えるプロジェクトを行った。同時にルリコマドリの保護も行われた。地域の大人も参加し、鳥・自然・沼地に対する関心が高まった。参加した市民はしばしば学校に来て、生徒の人生に貢献したいという実感をもった。生徒は自然に関する知識を増やしただけでなく、友情を育み、自分たちのコミュニティーに貢献できたと感じた。

【要素5】計画に沿って活動すること。成果は発達的・累算的な方法通じて現れる。

  • 評価されること。

[事例]

  1. Project YESはOakland School DistrictとEast Bay Conservation Corpsの協働プロジェクトである。優・並・劣のサンプルとして3人の生徒が各クラスから選ばれ、その生徒の活動を見ることでプロジェクトの評価をした。これにより先生は授業計画を見直し、普通の学問教育とサービス・ラーニングの両立を図った。

3.サービスラーニングを支える重大な構成要素

【要素6】プロジェクトの選択・構想・実行・評価に生徒の意見を最大限に生かすこと。

  • 生徒の意見を採り入れること。
  • 先生は進行役を務めること。

[事例]

  1. フロリダ州マイアミ市のAlternative High Schoolの生徒は近くの小学校3年生に英語(国語)を教えた。生徒は指導の質を向上させるために科学的要素を織り交ぜた指導計画を作った。海洋生物学や海洋学に関するプレゼンテーションや海の中のコミュニティーを実際に見学するため、小学生を水族館に連れて行くことなどが計画された。また、小学生の教室に水槽やポスター、自作のCD-ROMがプレゼントされた。
  2. Spring Harbor Middle Schoolでは、クラス内で「コミュニティーに何が必要か?」について話あわれた。ほとんどが環境や人間らしさと関連のあることだった。サービスラーニングの代表者が学校に来て、今、何が実行されているを説明した。ちょうど生徒は美術で建築と基本的な家屋の関係について学んでいるところだった。Habitat for Humanityの関係者が学校に招待され、地域住宅計画で合同アパートを改装していることについて話した。生徒は住宅計画に協力するために古いイスを集め、塗り直し、売ることでお金を集めることにした。

【要素7】当事者・実行・結果の多様性を尊重すること。

  • 相違点は議論され、尊重されること。
  • 多くの人とのコミュニケーションが助長されること。
  • さまざまなグループの人の参加が求められる。

[事例]

  1. カリフォルニアのある高校の歴史専攻の生徒は、かつて自分たちの高校には美しい日本庭園があったことを知った。そこで暮らしていた日系アメリカ人は第二次世界大戦中、連邦政府の命令により埋葬キャンプに移住させられたそうだ。現在、高校にはラテン系の生徒は多いが、日系アメリカ人は少ない。日本庭園の存在を知った生徒は、国のために戦った日系アメリカ人をたたえるために日本庭園の復活プロジェクトを実施した。生徒は元の庭園について調べ、コミュニティーから材料や技術の協力を受けて庭園を完成させた。他にも、日系アメリカ人の人々、土木ボランティア、建築家、NPO団体が協力した。
  2. John Swett School の3,4年生はイラスト入りの料理レシピを作った。さまざまな国の食材を使った。

【要素8】地域とのコミュニケーションやふれあい、パートナーシップや協力を奨励すること。

  • 先生と生徒は地域についてよく理解すること。
  • 地域やパートナーとのふれあいが育成されること。
  • コミュニケーションはルールを明確にする。パートナーとの間で成果をあげること。

[事例]

  1. Hopkins High Schoolの生徒は老人ホームに絵を描き、木を植えたりすることにした。生徒も先生もそのための技術を持っていなかったので地元の画家グループと連絡を取ったところ、2人の退職した画家が参加してくれた。地元の画材販売店が絵の具などの用具を提供してくれた。また、介護関係の企業は今後も継続的に管理する庭師を、レストランは無料で参加者の食事をふるまった。
  2. Clinton Elementary School の4,5年生は自分たちの町の100周年記念に関連するプロジェクトを行った。町の歴史に関係する話を聞くために高齢の市民にインタビューしたり、図書館で調査したり、市の資料を調べたりした。地元の演劇グループの協力で、調査をもとに世代を越えた劇を創作した。また、商店に劇に必要な物の金銭的援助も求めた。劇は成功し、今でも学校や演劇グループによって毎年演じられている。
  3. The Community Advocates Councilプログラムに参加している生徒は地元の企業・団体・行政機関・政府関係者や市民を自分たち主催の会議に招待している。会議では生徒が集めた地域のデータが使われ、何が地域に必要か話し合われる。また、改善策も検討される。
  4. Gloverville Elementary School の1,2年生はそれぞれペアになり、外を探検たり、交換日記をしたり、本の読み聞かせをしたり、勉強を教えたりした。読み書きの力だけでなく、生徒達は一生の友情も築きあげた。また、高齢の市民と生徒がパートナーとなることもあった。学校は地域住民の生活の重要な一部を担った。

【要素9】生徒に自分の役割、技術、必要な情報、注意事項、共に働く人への思いやりを理解させること。

  • 生徒の知識、姿勢、技術を開拓する。
  • 生徒の関心を地域社会とともに活動する人々に向ける。
  • 安全に活動できるように準備する。
  • 地域の期待にそう役割を生徒たちが果たせるように準備する。

[事例]

  1. Wren Middle School の7年生は地元のMeals on Wheels Program(貧困家庭や身よりのない高齢者への食事の配達)にとって不可欠の存在となった。毎週生徒は手紙やポストカードを送り、毎月一度、食事も届ける。毎月の訪問はその月のテーマを持っており、たとえばハローウィーンには、物語に登場するキャラクターの形にくりぬかれたパンプキンとそのキャラクターが主人公の創作物語を届けた。生徒の役目はMeals on Wheelsの人たちに毎月、毎週「喜び」を届けることである。パートナーに届けられる前に、自分が作った物語をクラスで披露する。高齢者や慢性病にかかっている人たちに接するため、生徒は本を読んだり、一人で生活するとはどういうことか、どうしたら喜んでくれるかについて考える。パートナーが亡くなった生徒もおり、死について話し合うこともある。
  2. North Carroll Middle School の社会クラスの8年生は、何度か老人ホームを訪問した。生徒は話す練習と聞く練習をした。生徒達が適切な態度で高齢者に接することができるように、このプロジェクトの目的は常に話し合われた。聞き取りにくい会話が録音されたテープを聴いたり、視野の狭いめがねをかけてみたり、味のないクッキーを食べたり、孤独を体験するために自分の悪口を言われている隣で目隠しして座ったり、指をテープでくっつけたり、スキー用手袋をはめてイアリングをつけたり、片手を体に縛り付けて服を着たりと、高齢者体験をした。そのため、生徒は実際にお年寄りに接するとき、より気を遣うことができた。

【要素10】生徒の反応や気づきを目標達成の中心におき、プロジェクトの前、最中、後にcritical thinking (批評的思考)を用いて考える。

  • 反応や気づきはプロジェクトの最中、前後いつでも現れる。
  • 反応や気づきから生まれた多様な思いが批評的思考に生かされている。
  • 参加者全員がプロジェクトについて意見を言う。
  • 生徒は高度な批評的思考を身につける。
  • 学校のカリキュラムと連関させる。

[事例]

  1. White Bear Lake High School の美術の授業では、高齢化、歴史、高齢者介護について調べた。まず自分たちの介護体験などを思い出したり、肖像画を描く練習をしたり、高齢化について調べたりした。地域の高齢者が学校を訪問し、体験談を語ったり、昔からの神話を話したりした。次に生徒は介護施設を訪ね、施設についての説明を受け、肖像画のパートナーとなるお年寄りに会った。生徒は何度か施設を訪ね、会話をしながら肖像画を仕上げた。肖像画はプレゼントされた。その後、生徒は経験を発表したり、レポートを書いたり、高齢者に対する新しい見解や将来について話し合った。プロジェクト終了後も施設を訪ねる生徒が多かった。
  2. Hawthrone Elementary School の生徒は、自分たちは幼いが何らかのかたちで、環境やコミュニティーに参加したいと考えた。低学年の生徒は美術の時間に陶器を作って売り、衣類や食料を必要としている地域の人々に寄付した。高学年の生徒は市民サービス機関を調べ、売り上げの半分を寄付した。このプロジェクトではまず、目的が明確にされ、生徒は日記を手渡された。美術の授業では世界の器の歴史や役割について話し合い、自分たちの陶器のデザインや意義についても考察した。他にも飢餓・貧困・ホームレスに関する問題が授業で取り上げあれた。さらにコマーシャル制作をしたり、低学年用の本を作ったり、車のバンパー用のシールを作ったり、家族や家の必要性について話し合った。

【要素11】生徒の考えを認め、ほめ、深める。

  • 生徒が社会に貢献していることを市民が知ること。

[事例]

  1. Basset High School ではティーンの妊娠をテーマにした。生徒は妊娠の身体的・精神的・経済的影響をパンフレットにまとめ、さまざまな機関に配った。生徒とそのプロジェクトの成果は学校関係者に広く伝えられた。
  2. West Springfield Junior High School の7,8年生は地域の高齢者のペンフレンドに手紙を書いた。学期末には、敬老の日にちなんで、ペンフレンドを招いて公園でピクニックをした。このことは地元紙に取り上げられた。