特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

N-pocket活動検索

キーワード一覧


静岡県西部障害者マルチメディア情報センター管理運営と周辺事業

協働の定義としてよく言われる、異なる立場の組織が主体的に関わる、得意分野を活かして共通のゴールに向かう、互いに対等でWIN-WINの関係にある、の他、さらに継続した公益的な活動を評価して、浜松市内NPO法人が行う協働事例を取り上げました。

NPO法人 浜松NPOネットワークセンター

活動概要

街中の公共施設の一角で、障害者の生活の質を高めるためのIT支援を行っている。県下3施設の中でも特に視覚障害者の支援に長けている。


はじまり

<背景・地域課題・関係者の想い>

 障害者のマルチメディア活用の推進方策について、静岡県障害者マルチメディア活用研究会が静岡県に行った2000年度の提言が元となり、県下3ヵ所に障害のある人のためのIT支援センターが設置されることになった。
 障害のある人を講師とした高齢者のためのパソコン講座を開講していたNPOは、市民団体との協働を促進させる県知事の意向もあり、2001年4月、静岡県西部障害者マルチメディア情報センター(以下西部MMC)の管理運営事業を随意契約の形で委託された(2004年度より公開プロポーザル方式に変更)。
 NPOは、障害の中でも特に視覚障害のある人にとってIT活用の効用がきわめて高いことを、担当者の個人的な活動より知り得ていたため、西部MMCは音声パソコンの環境整備に特化することを県に提案。さらに音声パソコンをすでに使いこなしていた視覚障害のある当事者や、パソコンを大いに活用していた点訳ボランティア、障害者向けパソコン支援をすでに開始していたボランティア団体等のメンバーからなる「西部MMC委員会」を自主的に立ち上げ、半年後の西部MMCオープン目指して、関係者複数での準備に取り掛かった。

<協働のパターン>

経験値: 複数の関係者に事業に関連する実績があった
関係性: NPO主導・パートナー協力
事業費等: 委託(随意契約)、委託(公開プロポーザル)、助成、その他(参加費等)

<パートナーと役割>

  1. 浜松NPOネットワークセンター:画運営全般、自主事業の企画運営
  2. 静岡県健康福祉部障害者支援室局障害福祉課:事業費負担、西部MMC委員会出席
  3. しずおかパソコンボランティアねっと西部、及び浜松市視覚障害者福祉協会パソコンクラブ:西部MMC委員会委員、人材養成プログラムの提供、障害者向けIT機器調整に関するアドバイスまたは出向支援

<協働事業の開始時期>

2001年


変遷と成果

●障害当事者の意見を反映させるために委員会を設置

設置にあたって、どんなソフトや機器を選ぶかについて、当事者の意見を聞くべきと考えたNPOは、障害当事者団体と連絡をとり、県の担当者を交えて検討会を開いた。その結果、当事者のニーズに合ったPC環境を整備し、オープンさせることができた。さらに、このような体制を常時とることが大切だと考え、ITの専門家を含む西部MMC委員会を独自にたちあげ、当事者の意見が直接反映する仕組みを作った。
また、県の担当者が変わる度に、協働の積み重ねがゼロに帰してしまわぬよう、事業に対する経緯や現状の問題について委員会の中で共有化を図っている。これが結局、協働の成果を高める元にもなっていった。

●障害者ICT支援について高い資質をもった人材の養成

施設環境の整備と並行して、NPOは自主事業として企業等からの助成金を受け、福祉情報支援技術をもった人材養成事業に着手した。マウスを使わないPC操作や、画面を見ず音声ソフトだけを頼りに行うPC操作などの技術習得だけでなく、各障害においてどんな配慮が必要か障害当事者を主な講師として養成講座を実施。
この講座は3年間自主事業として行ったが、4年目から県事業となった。

●ニーズに合った事業提案を施策につなげて

=市民だからできること
 NPOとして取り組む事業を常に評価し、その結果を踏まえて行政に提言していく姿勢が大切と考えていたNPOは、いくつかの事業提案をし、MMCの活用法について選択肢をひろげる工夫をしてきた。例えば、MMCに来られない障害のある人のためのIT支援については提言後、県とともにニーズ調査をし、在宅講習事業を開始した。
 仕事で使えるパソコン、という観点に応えようとしたのも「障害者就労支援IT講座」の受講生が講習終了後も習得した技術を継続させることが困難で就労に結び付けられない現状を見て、まずOJTを自主事業で開始し、その成果から導入を県に提案した。その結果として、就労支援講座を「バーチャル工房事業」に鞍替えする仕事を行政と一緒に協働で進めることができた。
他にも、障害者のための多様なiPad活用法について調査し、iPad5台がMMC機器として導入されている。


特色

●場の力

=行政だからできること
 障害のある人向けの施設は当事者か支援者のみが利用する「特別な場所」に設置されることが多いが、西部MMCは静岡県のNPO支援センター(西部パレット)内に設置されている。ユニバーサルデザインに配慮された建物の中に設置されたことで、障害のあるなしに関わらず、多様な人々の交流拠点となり、センターが場としてもつ意義も大きい。障害のある人が街に出て行くことで、人々の想像力が強まり、他人事を自分事として考える街づくりのきっかけとなった事例が複数みられる。

●ない力は外から借りよ

西部MMCが障害当事者や支援者たちにとって必要な課題の解決ができる現場であり続けるよう設置した委員会だが、人材養成の講座を修了したボランティアたちのレベルアップを目的とした講座等、しずおかパソコンボランティアネット西部などの委員による自主プログラムや技術等が、専門性の高い当事者団体や大学、支援団体から提供され、市民団体同士の協働によって事業の質が高められている。

●ユニバーサルデザインに配慮された共生社会づくりの具現化

=協働の醍醐味
 MMCでパソコンを習った障害のある人達自身がパソコン講座を開催、支援サービスを受けることが多かった人達自身が、自らサービスを提供する活動を開始した。
複合施設の中の西部パレットとしての「場の力」も作用し、自助努力の上、ユニバーサルデザインに配慮されたパレットという公助を得て、共助活動が可能になったとう点で、共生社会を具現化している。