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浜松外国人医療援助会 外国人無料検診会

(N-Pocketは2000年~2010年まで「外国人無料検診会」の事務局を担っていました)

  1. 第13回外国人無料検診会(2008年)
  2. 第11回外国人無料検診会(2006年)
  3. 第10回外国人無料検診会(2005年)
  4. 第7回・第8回外国人無料検診会(2002年・2003年)
  5. 第1回・第2回ブラジル人学校児童検診会(2003年・2004年)

活動を始めた背景

2003年 MAF副会長(当時) 粟倉如庵

浜松外国人医療援助会では、すでに7年にわたって外国人のための無料検診会を開催しています。その端緒は、1996年に浜松中ロータリークラブが創立10周年記念事業として無料検診会を実施したことに発します。

この企画には、浜松周辺で外国人市民の相談援助にあたっていたボランティア団体「外国人労働者と共に生きる会・浜松(=へるすの会)」をはじめとする諸団体が支援体制を組み、多くの医師・歯科医師・医療関係職・通訳・一般ボランティアの協力で、1996年10月27日に第1回の「外国人のための無料健康相談と検診会」を実施、259名の外国人が受診しました。

それというのも、1990年に出入国管理法が改正され、浜松周辺地域で不足気味の労働力を日系ブラジル人やペルー人に求めることができるようになったことから、急速に滞日外国人の数が増加しました。
それにともなって、彼らの労働災害や健康の問題も徐々に増え、また外国人の家族化が始まると、その子どもたちの教育問題なども発生しています。バブル崩壊後は、経済の不況とともに、外国人労働者やその家族は劣悪な医療環境下に追いやられることになったという状況が、私たちを動かした背景にありました。

公的な医療保障制度は、外国人を積み残していた

1990年前後に来日した外国人労働者に関しては、健康保険については、雇用主が人材派遣会社である場合は社会保険にも加入していないのが当たり前の状態でした。国民健康保険の加入条件もかなり難しく、多くの外国人市民が保険未加入の状況に置かれていました。

労働環境が厳しくなって平日や土曜日の通院が困難になる一方、年1回の定期健康診断を受けられる外国人はごく少数でした。また日本語の会話が困難で、かつ医療通訳を依頼できないために、結果的に通院が困難になってしまう現象も起こっていました。

このような中で、外国人市民の健康な生活を維持するための検診会が必要であるとの機運が高まり、私たちの活動が始まったのです。

組織の結成と、9年間にわたる取り組み

第1回検診会が終了した後、主体的に携わった関係者の間で、今後の事業継続についての討議が行われました。その結果、外国人市民にとって医療保障制度に多くの未整備な面がある状況下においては、この検診会を単発事業として幕を引くわけにはいかないとする見解が主流を占め、活動継続のための組織を作ることが必要であるとの合意に達しました。

そこで、1997年6月29日に「浜松外国人医療援助会(Medical Aid for Foreigners in Hamamatsu略称MAF)」を発足させ、浜松周辺に住む外国人のための無料検診会を年1回、毎年10月に実施しています。

活動を続けてきた成果

検診会を実施していく中で、受診希望者も増加するようになりました。支援者の輪も広がり、当初は100名に満たなかったボランティア協力者も浜松市内の看護学生、静岡大学、浜松医科大学、聖隷クリストファー大学等の学生達をはじめとし、近年は200名以上に達しています。浜松の外国人集住地域の中で共生社会をどう実現していくかという議論の深まりとともに、この検診会が果たしている役割に対する市民の認知度も改まるようになりました。

浜松市政は、数年前から外国人市民に対する行政サービスの整備を積極的に取り組む姿勢を見せています。2000年の検診会には北脇市長(当時)が来訪し、受診者の保険加入状況等の実態について認識してくれたことを契機に、市の施策としても国民健康保険加入の窓口が拡大し、外国人が無保険状態でなくなるなどの、目に見える具体的な成果が上がりつつあります。

児童の集団検診も実現へ

さて、将来の社会を担う子どもたちの健康管理について議論していく中で、本会の医師から子どもたちの慢性疾患を早期発見する必要性が提議されました。日本の学校では集団検診が義務づけられていますが、ブラジル人学校は文科省の認可がないため集団検診はされていないのです。

2002年度から、浜松市内にある3つのブラジル人学校との合意のもとに、これらの学校へ通う児童生徒を対象とした検診事業を実施する運びとなりました。

現在の状況と今後の展望

家族ぐるみの定住化が進むにつれて、外国人市民をめぐる問題は多様化の局面を迎えています。制度的側面においても、日系人のビザの延長と更新手続きの簡易化が求められています。南米経済の低迷が長期滞在を促進している状況をも踏まえた、新たな対応が必要になりつつあります。

検診会については、対象者の食生活の変化に基づく栄養相談、労働環境の悪化にともなうストレス増加に対処するための精神科カウンセリング部門の分離設置など、さらに充実させた内容で実施していくことが望まれています。また、異常が発見された受診者が遅滞なく二次検診に行けるよう、雇用主への働きかけや地域の医療機関への協力要請などにも、これまで以上に力を注いでいくことが必要です。