特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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外国人集住都市会議への提言 2002

「外国人集住都市会議」に集う
自治体・政府関係者の皆様へ

「外国人教育支援全国交流会」参加団体一同

具体的施策の提案

私たちは、昨年「外国人集住都市会議」により提案された「浜松宣言」を高く評価すると共に、合意に到るまで忍耐強くかつ周到な議論を重ねられた13都市の関係者のご尽力に対して、心から敬意を表します。「浜松宣言」は、在住外国人の子どもの教育環境の改善に、自治体が主体的に、人権に関する国際諸条約を位置付けて一歩踏み出した問題提起であると受け止めています。

私たち在住外国人の子どもの教育支援に取り組む13の市民団体等は、幹事都市で活動するNPO法人「浜松NPOネットワークセンター」の呼びかけに応じて、全国各地から浜松に集い「浜松宣言」が外国人の子どもの教育課題の解決にむけ、さらに充実し具現化される事を願い2日間に亘って、情報交換し、協議を重ねました。

全国各地の外国人の子どもを取り巻く環境は、予想を超える早さで深刻化しています。「浜松宣言」は、国と自治体との対等なパートナーシップを謳っていますが、その理念は、自治体と市民団体等との関係にもあてはまるものです。私たち13の市民団体等は、行政・教育関係者・当事者(保護者)・市民が、建設的に対話し、連携する重要性を確認して、市民団体等側からも、次の5項目について提言することにいたしました。

また、今後の「外国人集住都市会議」において、私たちも自治体のパートナーとして参加し、情報交換する機会をもてるよう、ご検討くださいますようお願い申し上げます。

「浜松NPOネットワークセンター」(浜松)
「世界の子どもと手をつなぐ学生の会」(東京)
「Grupo ABC」(川崎)
「IAPE(外国人児童生徒保護者交流会)」(横浜)
「College Student Network」(浜松)
「子どもの国」(豊田)
「子どもくらぶ たんぽポ」(草津)
「トッカビ子ども会」(八尾)
「とよなか国際交流協会 子どもメイト」(豊中)
「World Kids Community」(神戸)
「日本ブラジル教育サポートセンター」(神戸)
「大阪府在日外国人教育研究協議会」(大阪)
「神奈川県在日外国人教育連絡協議会」(神奈川)
<順不同>

提言

在住外国人の子どもの不就学状態を放置することは、必要かつ十分な教育を受けていない多数の子どもを生み出しており、日本人の子ども同様、彼らに健全な成長と発達を保障することは、地域社会にとって緊急の課題となっています。

在住外国人の子どもたちが、日本と母国のバイリンガル・バイカルチュラル(2言語・2文化)能力を備えて成長する機会を持つことは、日本社会の国際化や多文化共生のまちづくりを進める上でも重要です。

そこで、私たちは日本国政府に対して次の三点を提言します。

1. 不就学に対する取り組みについて

文部科学省は、すでに批准している「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」(A規約)及び「児童(子ども)の権利に関する条約」「人種差別撤廃条約」等を誠実に尊重し、在住外国人の子どもにも日本人の子ども同様に、初等教育を受ける権利を保障し、不就学を生み出す余地を残さない制度にすること。

2. 母語教育・母文化教育の公的な取り組みについて

a)母語の獲得は、人間として全人的に発達する上で必須の条件であり、その環境整備の為に、日本国政府はブラジル、ペルー政府と共に、予算等必要な措置を講じ、それぞれの子どもの母語に通じた教員資格取得者を日本へ招請する協定を締結すること。

b)文化的マイノリティー(少数者)の子どもに対する母文化教育は、母語教育同様、自尊心やアイデンティティーの確立に重要な役割を果たしていることを重視し、在住外国人の子どもに対する母文化教育を尊重すること。

3. 高等学校進学と、その後の進路について

日本の高校進学率は全国でも95%以上に達しているのに対し、在住外国人の子どもの高校進学率はきわめて低く、進学後も中途退学率が著しく高いことが指摘されている。彼らの学習継続の動機として、日本社会で自己実現の過程を歩んでいる身近な“ロールモデル”が不可欠であり、進学や就職等適切な進路保障の重要性を理解すること。

同時に、私たちは地方自治体に対しても、次の2点を提言します。

4. 母語教育・母文化教育を実施する公的環境の整備

a)それぞれの自治体(教育委員会)は、外国人の子どもの教育に関する基本方針等の策定や見直しを図り、母語を学習する環境を整備する指針を策定し、その推進を図ること。

b)日本の子どもたちが多様性を受容するために行われる国際理解教育・多文化共生教育等の中に、外国人の子どもに対する母文化教育をしっかり位置付け、学校の余裕教室等の公的施設に“多文化センター”を設置し、子どもたちの交流の場所として制度的に保証すること。

c)母語・母文化教育は、当事者が企画運営に関わることが望ましいが、現状では困難であることを鑑み、当事者が積極的に関われるよう、財政的な支援策を講じること。

5. 公立高等学校入試制度の改善と、その後の進路について

a)日本人の高校進学率が全国でも95%以上に達しているのに比べ、外国人の子どもの高校進学はきわめて低い割合に止まっている。彼らの高校進学を保障するために、日本語を母語としない生徒の受け入れ特別枠の拡大、特別措置の資格条件の緩和、実施学校数を増やすこと。

b)漢字圏以外の外国人の生徒に対し、一層の合理的かつ公正に配慮した入試基準を設けること。

c)進学後も中途退学率が著しく高いことから、在籍中の適切な対応を十分保障すること。

d)子どもの学習継続の動機として、日本社会で自己実現の過程を歩んでいる身近な“ロールモデル”が不可欠であり、進学や就職等適切な進路を保障するための施策を講じること。

以上