社会福祉協議会におけるジョブコーチの試み
2002年6月29日(土)
講師 上田浩貴さん、川守祥央さん、松本千春さん、山田朋代さん(金沢市社会福祉協議会)
【講義のねらい】
金沢市におけるジョブコーチの取り組み事例紹介
1. 浜松市と金沢市の比較
人口 浜松市57万人 金沢市44万人
面積では金沢市の方が広い
2. 金沢市における障害者雇用定着促進事業の取り組み
(1) 障害者雇用促進事業
スタート金沢市より委託を受け、平成11年8月にスタート
対象者…障害のある金沢市民が対象
内容…職場開拓、職場における支援、企業への訪問・支援、フォローアップ
体制…専任3名(正規1、嘱託2)、兼任1名(正規1)
(2) 金沢市社協におけるジョブコーチのポイント
- できること/得意なことに注目
- 就職してから訓練
- 実際の職場の仕事を通じた具体的な支援
(3) 支援内容
- 定着支援 38%
- 求職支援 11%
- 訓練/実習 8%
- 養護学校と連携した就職支援 14%
- その他 29%
(4) 特殊なジョブコーチ ~企業内ジョブコーチ~
- 企業内ジョブコーチ
障害のある人の就労・定着のための支援を「専任かつ継続的的に」行う企業の職員
企業がジョブコーチを雇用し、定着支援にあたることで、充分な支援を行うことができる。 - メリット
きめ細やかな支援が可能
その場で対応…問題が大きくなる前に
長期的な支援ができる - 企業内ジョブコーチに対する社協の支援
企業内ジョブコーチは企業内にいるため、障害のある人、一般職員との連携がとりやすい。
一方で、上下関係にあり企業の経営者との話が適切にできないこともある。
この部分について、社協のジョブコーチが支援。経営者との話し合いに同席するなど。
さまざまな視点からケースについて検討できる
支援技術の提供とフィードバック
各関係機関との連絡・調整 - 事例
個性派揃いのチームで仕事をしているが、異なる個性には異なる環境が適するのか?
Aさん…体をゆらしながら仕事をしており、そのうち歩きだしてしまう
Bさん…Aさんが動いているのが気になる…不満を言っていた
→ Aさんが動いていたら止めてあげてと依頼
Bさんは、Aさんの面倒は自分がみるという気持ちになった
Cさん…この仕事は僕の仕事だ…忙しくても他の人が手伝えない状態
(5) 養護学校との連携
- 養護学校では卒業後の就労・定着支援は困難
ジョブコーチ…卒業前から一貫したフォロー体制 - 事例
作業評価が初日からほとんど◎のAさん。…簡単な仕事ばかりさせている。
→ 新しい仕事を見つけた方がよいのでは
→ 仕事はあるけど難しい
→ 道具を工夫してみたらできるかも
→ 教える人がいればできるかも
道具を変え、教える人をつけたらできるようになった
(6) Just Do it
とにかくやってみよう
3. 課題(質疑の内容とその他感じたことなど)
- ジョブコーチ…卒業前から一貫したフォロー体制
- 職場開拓にあたり、企業としてのメリットをどのように話しているか
- 助成金については、でるケース、でないケースがある、それを前提にした話はしないことにしている。助成金については、ハローワークと連携して、話をしてもらっている。
- ジョブコーチが入ることで、仕事の課題分析ができ、新しい人が入った時にもわかりやすくなる。会社のマニュアル作りにもつながる。
- 社協のジョブコーチに関する事業費は
- 委託料として3人分の人件費約980万円
- 企業内ジョブコーチが支援だけの専任だと企業の負担が高くなるが、実例としてはどのような状態か
- 現場にいるが、企業内ジョブコーチも仕事をしている。
- 企業内ジョブコーチは直接的な支援から、まわりの職員からの支援が中心となるようにナチュラル・サポートづくりを行う。しかし、だんだん手が離れていくと、ジョブコーチ本来の仕事が減ってくる課題がある。