特定非営利活動法人浜松NPOネットワークセンター

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フードプロジェクト(ボストン)

子ども達が農業を通して「市民」に成長するプログラム

この団体は、12年前に1エーカー(約4500平方メートル)の畑を手に入れ、有機農法により多品種の作物を生産しながら、夏休み、放課後、週末に、14歳から17歳の青少年が、農業に参加できるプログラムを企画し、農業体験の機会を提供している。地域住民も年間5万円で会員になり、毎週1回収穫を楽しむ会員制度が用意されている。

運営スタッフは、プログラム開発・総務運営・生産農業部門に分かれ、農業技術を教えるだけではなく、農業、環境、人権、ジェンダー、非暴力、国際平和などの現代的課題について、子どもが“市民”に成長していくための基礎教育を、ワークショップ形式で教えている。

7週間にのぼる夏休み企画の日課は、午前中の収穫作業、昼食後2時間のこの教育、残りの2時間で更に作業という構成である。

収穫物の50%は、ボストンのホームレスのシェルターに、残りは、市内で毎週開催される市場(Farmers Market)に出荷されるが、売り手はもちろん子どもたちである。高齢者にランチサービスも始まった。子ども達は無給ではなく、労働の対価に、週給約2万円が支払われている。

“The Food Project”の活動目標
1)首都圏の持続可能な食料供給システムを創りだす
2)長年にわたる人種、階級、身体状況に対する差別の解消
3)環境問題や社会問題に関心を喚起

子どもの責任感を育てる

通勤時も作業時も必ずFood ProjectのTシャツの着用が義務付けられており、8人で編成されたグループに一人いるリーダーは、15才ながら、電車の中のマナーまで、目を光らせ、農作業時のチームワークにも指導力を発揮している。
自分たちがさぼると、ホームレスの人たちが食べるものが無くなる。ランチを待っている人がいる。彼らは、作物を育て、収穫し、シェルターに届け、市場で売り、ランチを調理する。

それぞれの持ち場で見せる彼らの顔は、それぞれ違うのだという。自分より困っている人たちがいて、私はその人たちのために役に立っているという自覚が、子ども達の成長の原点にあるという。
事業全体を貫いている理念の高さと、それを実現させる仕組みの周到さに圧倒されてしまった。